2018・9月の句会    ー第131回ー

壁の染みの蜘蛛が動いた             古戸暢

知らない赤子が泣くような夕暮れ

蚊に噛まれたあとの十字と雪印           克彦

単車で飛ばそうと叫び自転車こぐ

干渉嫌うヤブミョウガ黒い実残してマンホールへ  かえい
風を買い雨を買い方丈を棄てる

髪やっと束ねた頃に秋が来ていた         歌也子

北向きの心あたたまりかたを知らない

おいしいコーヒーも難しいソフトーランディング   妙子

物忘れ笑いに変換して丸テーブル

手のぬくもりふわり                昌子
初めての眼差しに息詰める

残月水銀灯に絡みつく               ゆき
隠した嘘が騒ぎ出す饒舌な闇

夢見は悪くなかったのに一日の鬱          酔魚
停電続く夕食難民の徘徊 

最後にするよ一発張ってゆるすから        奥野章

勝ちは無いけど道連れにする手は二つある

膝にひろげたまま色褪せてる            働猫

蝋燭の燃え尽きる匂い断水の夜 

ひとり家にいて家電に喋られる          けんじ

誰かを道連れにして陽が沈む

 行ってしまった水たまりの中の駅          博之

何も飛ばない空に虫澄む声

もう秋雲 きみの裸身浮かぶ青空           一憲

ぼくの空虚を塞ぐ綾子の口唇

台風はイヤだと信号機そっぽ向く          圭一    

鳩の群れ割って昼食

家帰る不在通知のにじむ汗             雅人

ビール干し眠る妻子のすき間に入る

消えそうな記憶に鮮明なパセリの色         架京  

日本が難破船にみえてくる地図      

家までは雨宿りと陽宿り            福田和宏   

火星大接近でも使われない望遠鏡さびしい

明日も流す涙のために日が暮れてゆく        郁也
ばね錆び付いて悔しいだけが四十路

羽虫集るから蓋しといた冷や飯           友介
証する根こそぎの街路樹

眼閉ざして死者の顔となる           タケウマ

定時に遅れる美しい雨の中

愛おしい目に 日々を問われてる          知子

虫の音響く 静かなここに居る

台風の目が見ている(そら)の星            人美

風をあつめて風にのって気ままな風のかたまりになる

南天も葉を落とす酷暑疲れか           裕一

初ライン意外に便利スマホかな

月だったのか灯らぬ夜の輪郭           貴子

皿洗う蝉に晩夏を謳われながら

風が爽やかで聞こえなかったふり        麻由可

わたしとあなたが回っているコインランドリー

わたしのいないわたしの町に雨降る」       一音
逃げろ名前は無い

小さな花にルーペであいさつ          大布団

直撃予想の台風になぜか右往左往