2017・7月の句会    ー第124回ー

犬を追う子のこけよる              古戸暢
浅い夜に目覚めた

針穴を抜けて梅雨へ垂れる糸           架京

この沙羅に一日だけの雨が降る

 梅雨を病み紫陽花年々薄くなる          歌也子

白にはもどせない人生が透ける

闇夜の砂漠の明かり一点             克彦

嫁さん旅行テレビの正面に座す

青梅をポーチに入れて夏来たる          かえい

路地裏の雨音セレナーデ

炎帝バックラッシュ東京秋葉原          博之

月の港は海のしたしく舟揺らす音

布巾干して月に会釈する小窓           ゆき
ペリエの泡滲む夜の滑走路 

諍いは小さな火種の集まりだ           酔魚

切手の絵柄選びつつあの人を想う

再会した駄菓子屋のおばさん名前ありました    妙子

仲の良いご夫婦七夕に逝った(ひと)

あすはまたふたりに戻る夜に罅          一音
飲めない酒飲む見え透いたさくらんぼ

明日死ぬ日の手を振られている         タケウマ

頭沸騰して役所への坂道

愚かな蚯蚓と乾涸びて炎天            働猫

短冊に願いをかけてクドリャフカ

ウルトラマンが乗っている精霊舟         どら

あ夕映えの水中花だ 嫌々をする君のソバージュ    

過ち数える帰り道みち草に眼をやる        一憲 

視えない希望消えた軌跡 でも逝く

黄昏に寂しさ用のサプリメントを飲んでおく    昌子
富士山が大きすぎて途方にくれる

無邪気なメールにほっとして今日はお休み     郁也
怪我した顔をまだ見せてない文字だけが重なる

雲は動かず島の婆さんYouTube          けんじ

干されているスクール水着は蛸の横

汗か雨か一緒に帰る               圭一

古いエアコンに酔いきれず夜は更けて

せわしい立ち話ぽってり急須の聞く        麻由可
バナナむいて今日は自分がかわいい

インドを語る人の向こうからインド人       雅人

草むしり並んだ尻に荒れる蟻

荷解きの側にはもちろん猫がいて         友介
どっちかというと線香花火みたいな

束ねきれないほつれ毛がネェ海はという      貴子

咲ききった朝を摘む

鼻からはずすと悲しげな顔           知子
木漏れ陽と海の線をくり返し続く

今私泣く前                  人美

僕は多くの河を知っている    

雑念のなか黙然                西川大布団

枯れた紫陽花に細い雨