2016・11月の句会    ー第120回ー


肩重く飛行機は遅れている      古戸暢
女の足の白さを蚊は食む

犬小屋の錆びたエサ箱母ひとり    克彦

ツェルトかぶり鳥獣戯画に遊ぶ

毛が落ちる昨日の毛の上に       雅人

屁をこいた本屋の男と夢でまた会う

家が建つ欠けてゆく月の下       一音
冷たい夜だのりしおの指を洗っておいで

歩幅ゆるやかに落ち葉する道       酔魚
今日を白紙にして眠る

人の死をコンテンツとして秋の闇     働猫

 捨て土下座して人の世をゆく猫を抱く

気性の激しさ持てあますダリアの不機嫌  ゆき
夕空薄く引っかいて月とする

さほどの望みもなし佇む路上に冬隣    一憲

    冬隣・・・冬を予感させる晩秋のこと

差し伸べられた手を振り払う病床の意気地

星雲のあわいにおでん屋の灯り      タケウマ
毛布抱きしめてあなたの熊の匂い

山もビルも霞立つや陸を送る       圭一
枯草からまる一輪車も時雨れてきました

失敗でもないかまだ葉は残っている    博之

萩からしずく落ちたところが冬

意思をなくした手袋の空洞        架京

とっても重い冬瓜が居座る男

冬支度 この歳で初めてのことおぼえる  昌子

ひとりひとりと 雨つぶがいう

すったもんだのあった顔ぶら下げて来る  けんじ

諸事情で森の熊さん暴力沙汰

秋晴れまろい嘘に慣れる         麻由可

秋雨が息苦しい私が白くなる

下手な車庫入れ見ている柿たわわ      妙子

短い鉛筆並べ昔むかしの秋のお話

人らと共に眠り海はまだ画素粗き波   郁也

ぽとりカリン呼ばれたような       友介
秋空に画素欠けて柿ひとつふたつ

雨あがり木材の香り立つ解体現場     勝

コップ酒投げ割る音に暗い路地

枯野に夕陽おでん煮る          錆助

光夜月を呑む

秋の窓辺に肉球が油断している      貴子

べしべきべけれ落葉の乾いた音

西の空大きい満月がこわれてく      人美

おかあちゃんと甘えてみた僕はおっぱいが欲しかった