2016・9月の句会    ー第119回ー


あたま痛みあらし来たる            古戸暢
紫立つ空へ煙吐き出してやる

また生えた草を抜く蟻が出る          水越雅人

麦酒空けて妹の後がちょうどいい湯

うなぎ百万尾マリアナ海溝の酒池肉林      克彦

寺男ピアスの跡を挿す耳毛

ひとりになりたいワガママでいる         酔魚
ガンマ下がったと酒を酌む

秋風の操る若い日のインクの滲み        妙子

レントゲン心の歪み見透かれそうな  

背中丸めて食べる夜の定食屋          ゆき
異国の船を待つ港のキリンたち

猫尻を押せば猫尻が押し返す          働猫

君といてまだ月だけが綺麗で

子らのいるまちと同じ月か このまちの月     昌子
段ボール   この想いだけ詰め込む覚悟未だ無く

木の葉色のショウウィンドウ早足のブーツ    麻由可
自己完結癖ひとりの夜のモンブラン

クワガタ埋めてアイスの棒の卒塔婆        けんじ

ワニ食うた女と間を空ける

秋が来てる三人暮らしの中皿に          架京

木犀の匂いのほうへ五分おくれの腕時計

押入の銀河太らせたまま眠る          タケウマ

はつあきのあめさらさらとはくほうき

傷だらけの身体朝まで投げ出していた       郁也
時々夢で会うだけの君はいつも笑う

鎌の刃先に泥ついて斬              玉虫

野分過ぎ行き虫の音高し

逝く(ひと)追う眼がかすむ             細田一憲

いつまでの命庭の百日紅触る朝

悪夢の途絶枕上の殺意              勝

色即是空無為徒食

秋雨見知らぬ靴下がある           圭一
犬あやしないてる人おる朝靄

黙祷の人々蓮の花咲く            錆助

汗拭けば夕焼け鴉

坊主 原付 あいつの初盆          友介
きりりとでも口説けば秋の虫なのに

待つひと白く夕闇のここから見える      博之

泣き顔を点検する鏡

うたたね覚めて夢で探したものの名前探す   一音

ハイヒールあたしの行く手を阻まないで

息子がおかわりという茄子の糠漬け      歌也子

秋雨前線日々の歩みの重さよ

葉影もあつい地球から瑠璃揚羽        貴子

眠れぬ夜は確かに小さく柿落ちる

まだ途中です                人美

ひやしあめ屋B5一枚の閉店通知街は夏