2016・5月の句会    ー第117回ー

曇る夜の水鳥が鳴く         古戸暢

薄明るくなる道を歩く二人でいる

境内から新緑の大噴火        克彦

色即是空寺男が道を説く

隠し事なくなった隠す人がいない   歌也子

母を父に託して動きだした時間

なんかあかん日 背中の寒い夜だ   三上昌子

できるなら母より子でいたいMother's  Day

雑踏見下ろす鳥の目の鋭く      ゆき

雨が止んだら逢いに行く

草葉の陰に芽吹いて帰って参りましたか   働猫

猫押して夜が来た

春めいて喋れぬ子の笑う          錆助

痛む足に蚊のくる

ちょっとは蛸を見習え           けんじ

有線の線を伝って襟裳の春来る

ハサミでざっくり夏みかん剥かれていく   博之

つらい鼻唄なべ底にだけひびけ 

捨てたい指輪つけて日に焼けた       一音
きのうのシャツ脱いだ形のまま着ていく

心臓へ夏蝶溢れ飛ぶ真昼          タケウマ

白詰草摘む爪先の刹那

瓦礫に雨たんぽぽは明日旅立つ       架京

足先まで息して被災の娘が帰る

悪女になれず走る菜の花畑         麻由可
シロップかけたパンケーキになる午後

満月の夜カーテン開けて眠ります      人美

花水木の街には光の風つばめが低く飛んでゆきまた

椅子くるっと回せば見えてくる()の瞳    妙子

受付の美人さんのほう向いてカラー一輪

通してください張りつめた朝の糸       貴子

夜も更けて生命線に転がしているこんぺい糖

歯車ひとつ転がって向後の寂しき幾年か    えみ子

雲の縁金色に 今日は良い日に決まってる

春愁、僕、ピーナッツ食べ終わるまで寝ない     圭一
何はともあれ耳がかゆい

毒の煙に顔突っ込んで四半日分の仕事        郁也
迷い込んだ虫けらと汚れながら掻く汗だ

一匹だけになった金魚と向き合う          勝

このからだを生きる

菅笠の天辺破れて、ずーっと緑                      友介
童らに吸い尽くされて躑躅の道