2016・1月の句会    ー第115回ー

 

まっくろ子猫メスらしい           古戸暢

月欠ける空へ息の真白い

澄ましてもびんのほつれ           克彦

あれが僕の父か

真冬の芽の幼さ愛しく生きる         歌也子

万両供えて般若心経

焼きいもは新聞紙でなくちゃ         人美

まっすぐいったら迷ってしもた

救世軍食事の合図日脚少し伸びた空      妙子

今年も砂山作ろう波任せ齢任せ

黄昏れてやがて左右に別れゆく雲       ゆき
バスの後ろを歪んだ月がついてくる

からっぽの空へあなたの手紙の火       タケウマ

はなした指のささくれ

コーヒーとクッキー一枚で下り列車      麻由可
水仙 ここは春を待つ駅です

無口な俺に雪降る              錆助

餅焼く手が汚れている

地蔵にニット帽被らせて過疎の村       けんじ

歩きスマホが向かって来るおいおい

凶なれどこれからさと甘酒啜る         酔魚
名前なき賀状の弱い続け字

おちょこはスカウターなのか?       ナカスジミソサザイ

餅は宇宙人なのか?

まだ正月の空白々と明け猫あったかい      働猫

風風吹くな愛だけで救えぬ痛み

遠い島の墓石に手を合わすご縁であったか    勝

亀の手しゃぶり早口にしゃべる真昼の酒

華やかな街にいてネオンは言葉ではない     架京

レモン転がしておく花のないテーブル

もう口聞かぬ男と乗り合わせたバスの長旅    郁也
雨止み冬の虫けらが死にかけていた朝

誰もいない鳥籠が浮いている          圭一
ここから異国へ行けるさざ波

ポケットからひきぬいた手の先もうひとつの手  博之

雪道ひとり歩く三拍子

こいびとと呼ばれた夜の傘をとじる          一音

よい三日月だ君から手紙がくるかもしれない

鏡餅のミカン転げて核実験とや            喜久也

ポケットにねじこむ凍てる掌と物憂さ

バリバリ小気味良く煎餅噛む             えみ子

この冬は炬燵なくストーブ背負う

あの島の向こうにもある水平線            貴子

ジュウッと肉が焼けても許してあげない