2015・7月の句会    ー第112回ー

 

雨きつおっせ傘持ったはりますか      克彦

ひきだしに歯形だらけのトンボ鉛筆

人恋しげに付いてくる黒揚羽盆が来る    妙子

洗っても若返らない顔今日もご苦労さん

私はあなたの素因数ではなかったか     ゆき
鉛筆にしがみついてくるカナブンを

笑い上手余白に積んでいる         喜久也

一日をソクラテスの妻で疲れて候

肩で後悔飛び跳ねる今日の雨

どこかに火があって涙がこんなに熱い    一音
ひょいと座ってみて疲れていた

あかるい波の緑が流れていく        博之

海をまたいで沈黙の波音ひびく

諸事情で蜥蜴になって廃屋に居る      けんじ
雀来る鴉来る突然母も来る

鬱か躁か目覚めて決まるいちにち      えみ子

心は谷間に堕ち町は薄暮に包まれる

空に、空に枝を延ばしてやっとなかほど

黒い海に椅子を投げるポチャンポチャン      人美

詩人が歩く道には月と夜の傘        働猫

苦しみの終わり蛍、蛍来い

京ことばで弾かれる蓮の葉のうえ      架京

風鈴鳴って駆け下りてくる青い落葉

内股になりつつも回り込む         ナカスジミソサザイ

ふるいにかけた後たしかめる

水田靡きバスゆっくりとカーブきる     酔魚

見上げれば蟬八匹見つけた朝

おっちゃんが恋だと思った日の夕焼けぷるんぷるん  タケウマカエル

渇いた空へ燕の一閃

中年として帰省す我が足元の影も伸びた   郁也
父母も縮んで蝉よ夏をか細く泣くな

私からはみ出た言葉扇子であおぐ

つま先立ちを見抜かれている        麻由可
風はさみどり何度目かのスタートライン

私からはみ出た言葉扇子であおぐ       貴子

綿雲へ登りきって羽化

ウキウキする黄色鉛筆            勝

こころの色まぜあわす夜

灼け道に固い唾吐              錆助

泣く児が蚊を打つ

あめふりあめふり不満でできてる       圭一
五月雨の懐かしい電車に乗っている