2015・5月の句会    ー第111回ー

 

半月朧に今日の俺はいかんかった  古戸暢

犬行く夜を追って行く


日照る壁に沿うて蝶の落ちていく  川城博之

気まずいひとつの席の空いたまま

道案内ひだりやのにと寺男     克彦
牡丹花もしおれりゃ首を落とされて


結界をするりとまたいで蝶が翔ぶ    ゆき
土手の隅で素直になれない   ひめじおん


ほれぼれする大根足日本は明るい    妙子

柄にもなくお灯明あげる姉の手術


持ち物に名前を書いて一安心      ナカスジミソサザイ

おにぎりかじってはひょっこり


私もよ飛べないままの綿毛の子     麻由可

 持て余した肩幅嘘を吐いている


二男三女五月の柱傷だらけ       けんじ

花壇にスコップ突き刺したまま逝った


瞳の中のバラ一本が空を燃やす     架京

雨の日の石の暗さ母の探しもの


いまだ後生大事に抱いているB面の涙   喜久也

五月の大地 ペンペン草発光する


待つでもなく麦茶飲む春      武里圭一

台風来て葉桜と二人


空に放つ碧の自分欅夕     えみ子

穏やかには過ごせず終活の日々真夏日迫る


長ぐつで青空砕いて歩く      一音
玉ねぎザクザク聞き飽きた敗者の弁


死にたいと言うたときから死んどってんおっちゃんそうやろ雨が温いで  

タケウマ

雲雀の声あなたへ降ってくる


巣作りはこれから燕低く舞う   酔魚
雨足人の遠のかせている店先


こんなに四角い葉書が報せる夕焼けのいろ  働猫

信仰に生きるひとの横顔花散り落ちる


仕事で焼けた顔焼き直す旅の青空     郁也
雨天炎天暮れれば波の波音の中

悪夢はそっとホタルブクロに入れて黄昏  貴子
待ちくたびれたパラソルの蔭 紫蘭


松低く鳶高く海風     錆助

地蔵に木漏れ日皐月咲く  


うまく剥けないゆで卵で雨の朝    勝
塗り絵して唇とんがらせていた


ねむたいまでをあるいている     温

夏の風の落ちている