2014・12月の句会    ー第108回ー

 

壊れた炬燵に隙間風            古戸暢

陽が落ちる空に目覚めた

木の葉の子らが風のかたちに一列に     野田麻由可

月傾く灰皿いっぱいの男のお伽話

落葉さくさく物分りよい老人になるまい   妙子

いただくばかりの親切手を振る

この波越えるしかなくて冬かもめ      歌也子

真夜中私の骨が泣いている

カニうまかったねと指を嗅ぐ        克彦

カストロに会って聞きたいカリブの春

鷺四五羽休耕田で談合している       けんじ

犬が敷くこのセーター俺のだろ

男と女ポップコーンの嘘がはじけて     架京

髪をほどいてだらり月がそのまま

雪の舞うひとひらずつに句点打つ      ゆき

夜更けて遠ざかる自転車のきしむ音

雪に晒される尾花を真似て飄々と冬にはいる えみ子

新米の艶やかな甘さが嬉しい 一汁一菜

喜怒哀楽のモザイク踏んでもう師走     喜久也

掌に錠剤転がすあしたに恃むものなし

茶碗が重たい               人美

明日はどんな風天からちらほら

骨だけになった水鳥の目にまだ湖の空    郁也
明るい朝の湖に浸す手がこんなにも冷たい

猫草食う音闇に雪降る           働猫

零下月光凍結注意報

しろくしろく風呂に浮かぶだけの乳だ    吉村一音
打ち明けて林檎は恋になってしまった

篠突く雨にブーツの踵任せたまま      貴子

枯れ葉になりたい 雨の音

泥雪光る                 矢野錆助

氷雨猫が鳴いている

列車動き出して見送りのそれぞれ      酔魚
ゆっくり帰ろう秋桜の手招き

データの紛失データの紛失常に怖い     ナカスジミソサザイ
いまだかつて無いデータ 造る

物憂いては光る雪             小澤温

孤独な聖書横たわり