10月の句会    ー第83回ー


 

いくつもの内緒が心に影ひく          昌子

日曜日の不鮮明な記憶 大きすぎる赤いヒール

銀河降る夜 泣かない夜

怒ってないよと言付けて雲行き見あげている    れいこ

またおこしやすぅと語尾が否定音

髪を染めこころを染めて逢いにいく

朝の珈琲一気に夢のあと片ずけ

元気になった猫めちゃめちゃ抱く         歌也子

山頭火さんと鳴雨さん枕並べてよい月で

こだわらず(ゆる)し感謝するこの世は仮住まい

台風一過 星を数える少年と犬          えみ子

蜃気楼 いま干したシャツのゆらゆら

ひそんだ情念を交差させ竹林の道         架京

どの顔も苔むして水の音風の音

佇めば一本の枯木で風の中            喜久也

波裏から眺めうねりが空を描く          弄山

燃える雲を風に銀河が消す

小さな嘘をたしなめて笑う三日月         ゆき

柔らかな風が吹いて娘帰省す

金木犀の小路で迷子になっていたい

紅い紅い秋の日の途方に暮れる山の月       日和呂

何処で死のうか赤い月夜のカブトムシ

抱きしめて鎮める                 貴子

碁盤目コツコツと揃えて歩く

風しみ入るまで居て去る

冷たい胸にヒートテックのマフラーどうぞ      つゆこ

夢の中まで意地悪な顔がごろんゴロン

季節を間違えた桜がハークション

新幹線は速過ぎます頭がからっぽ

まんまん満月欠けてるのは老い猫の涙        人美

玄関に来たカマキリ諭して草へ帰してやる      章志

何から逃れたいのか雲が奔っている

仄かな魂の色 妻の微笑み

生死を賭けた恋だったタイムマシンは要らない