9月の句会    ー第82回ー


うつむいて首振るばかりのねこじゃらし    れいこ

一段おりたところが秋

風がちぎって秋祭りの歌

目覚め、希望のかけらかきあつめる

風なく月なく昇っていく心の闇夜       昌子

自由にはばたきたい  空の青へ海の青へ

蜻蛉の瞳濡れ 月夜の一本道

待ち人来ず  上弦の月にもたれて      ゆき

白い待合室にうずくまる病んだ蓑虫たち

百日紅の鮮やかな残像 名残りの夏

私にもある夢のもやもや合歓の花       架京

合歓の葉擦れくくくくくと娘が笑う 

言葉重なって埋れていく本音         章志

名前思い出せないまゝ世間話が終わらない

ときめくわけでもないがネクタイ選んでいる

娑婆には序列もあってお焼香滞りなく

波紋に鍵を差しこみ水中を泳ぐ        弄山

分からないから死ねない

松虫鈴虫スダレほつれている         喜久也

笑い上手を私の余白に積む

夜の 羊も来ない私の病室          えみ子

金魚に見つめられ気持ち取り戻す

足音を響かせ孤独を抜ける          つゆこ

馬鹿になろうと笑っている

秋が来たり行ったり子犬の寝相

曼珠沙華にひそひそ話を聞かれた

ジキルとハイドの対応にも慣れ今年アラカン  歌也子

真夜中のメールに満たされて風の音

名もなくて蝉の穴を覗く男          日和呂

ねこはきせつのゆりかご           人美

尾ひれひらりと鬱振り捨てる         貴子 

九月ジリジリ煮つまってゆく鍋の音

もしももしもが連なり始める日暮れどき