5月の句会    ー第78回ー


高くたかく鯉のぼり楽しいね悲しいね   喜久也

花嵐のなか結ばれる赤い糸        えみ子

代掻きの水温く身を包みたる淡い陽

揺れて猫を抱いて揺れて庭の狸が倒れる   歌也子

猫 恋する瞳で私をみる

あや取りの梯子縺れて雨の晩春     ゆう子

五月というのに精いっぱいの女でいる

人魚の息に合わせて海底に生きる    弄山

月のない暗がりに耳が冴える

朝明けに最後の鴉をほうむる     伊織

けられつづけた石ころである

夜明けは貌なき男たちの土饅頭である

届いた訃報が無念、無念、無念   つゆこ

父待つ間の香りはモカで

泣けば悲しみが増す白い煙

山の精に蘇る

悩みはみんな若葉に消える本日青天

ためらって沈黙のつけもの石     昌子

アンドロイド ちょっところがしてみたい新しもの好

きらきら踊って川面に夏の涼しい色

若葉すっぴんの感性で町に出よう     れいこ

じゃあ又ね今年もそれぞれ散っていく

くしゃみまじりで口説かれている

ノアの箱舟もなく神々の沈黙

私の中の脚本が壊れそうです 朝の露   架京

手のひらを静かな海として閉じる

ありがたや暴露されたる眼差しの    日和呂

笑顔がしみる茶殻を捨てる

夕暮れた鏡の中のわたしじゃない私    貴子

膨らんだ胃袋を猫に咬まれている

胸のすく話だけれど公園の鴉

花の頃を過ぎて 桜を想う       由利子

金色の矢 頬をかすめ散る竹の秋

嘘のない話を 満月が傾くまで