3月の句会    ー第76回ー

笑おうどんな時も私はお日様     歌也子

災害ニュース命も地図も落丁のさま眼底   喜久也

涙も出ない有り様の春をあゆむ     ゆう子

大丈夫という言葉で緩み喋り出す

深海の病室に磨りガラスの夕日きらきらと射す   由利子

誕生日人生の晩秋の駅に降り立つ

毅然としてなさいと梅の花に叱られる

辛すぎて呆けている

わかる人にだけ飛び出したくなる胸   つゆこ

無人の家に風が置き手紙

見つめると絡み付いてくる目

サスペンスで埋める午後のの虚無    れいこ

指先きからほのかに春めいてくる

ガーベラくっきりと形どる春の稜線

さざんかの枝でメジロの待ち合わせ

燃え尽きるまで燃える緋牡丹の愁い   昌子

闇の夜は夢ばかり遠く聞く潮騒の音

図書館の床においていった、君の靴あと

私の禁房(きんぼう)で誰かが笑っている   伊織

壊れゆく頭でシャボン玉飛ばす

鏡の中から相貌(かお)が消えてゆく

風に吹かれバイオリンは自由に弾かれる   弄山

闇のなかで黒が形を変えて息づく

レクイエムを聞きながらビール呑んでいる   人美

生きるってつらいけど死ぬってことはさみしいよ

逢いたい人に会えたらなんて波のまにまに    貴子

ブーツから伸びた春の踵が歌ってる

食卓に劫火映して食べるしかなく