11月の句会 −第72回ー




心が風邪ひいて身体はかぜこじらせたらしい  

夜の空いっぱい元気な月がでている      人美



セピア色したお下げの母だ     

あの野麦峠にも新そばの旗

疲れ果てた太陽で沈む         つゆこ



落ち葉しきりに私生活の庭    

簡単な一日でしたカップ麺の湯気    喜久也




雲の入江に船が着き水平線まで広がる  

笑い声に記憶を奪われる         弄山




見せどころフリルの服を脱ぎ捨てる   

うぶなところ覚えています比叡の灯    ゆう子




酔芙蓉白い心赤く染まってあなた    

待つは言わない心で待つ

猫元気になってゆくパンにはシナモン   歌也子




青葉に隠れたつもりの緑カマキリ    

血と血 掌にあって重たきもの      昌子




あの人のことばはいつも玉虫色    

ヤジロベエ揺れて病床の友

かけちがえたままのボタン話かみ合わない

もらったことばガムと一緒に噛み続けている    れいこ




記憶の池に沈めている月の横顔    

心のなかのくもの糸あれこれひっかかる   架京




な〜んにもない日の昼下がりの鴉  

銀杏深く開いて別れ告げられている    貴子