10月の句会 ー第71回ー


軽くなれ庭も木の葉を落とし始める    

捨てかねてお手玉一つ上げてみる

団扇の破れ目から風邪引いている   貴子



初恋は初めて食べたサーモンの味  

ナイフとフォークでことばも分けて食べる

しゃべり続ける人耳になっている       

この私を(わたくし)色に染めあげたい      れい

 

ビードロの夢 外国航路の霧笛   

不本意な雨に身構える野良猫の目玉

(そら)に翻弄されて 盲目の秋 しのび寄る   昌子




月のない空を見て寝る  

死者は未明に微笑む          伊織

 

頬杖の美しい日から降る銀杏    

ピエロの顔を動かしてみる鏡の中   架京

 

おもしろい雲だね一緒に笑おう    

ありがとうありがとうと生きてゆくあなた

生きている限りあの日の夕焼け     歌也子

 

はやく歩かねば老いてしまうよ私  

干して待っている明日の布団      喜久也

 

触れて深い眠りにいる       

鏡の中の鼻眼鏡が吹きだす       つゆこ

 

コスモス挿した程度のきょうの出来   

厄介なものは月の道より放下する    ゆう子

 

光を吸い尽して闇の鏡      

風になり空気を破る羽         弄山

 

豚足と手羽先を喰らう女派手なブラジャーがみえている  

君がいないからずっとブルースを生きてたんだ      ひとみ