8月の句会   ー第69回ー


ビール飲みながら尿酸とたたかう 

送り火と一緒に逝った小さな命空はしずか
   人美



沸騰する音は水の苦しむ声 

言い訳は風の雲が青空を包む        弄山     


みんな帰ってしまった単純な朝

熱いヒマワリのながい黄昏           喜久也


八月が生者を貫く

八月に正体を現す

廊下の奥に何かいる            伊織



勝ち気なおんなの扁平な足裏

明けない夜を抱え込んで初心の恋は     ゆう子


 

夕陽受け往き交う人の皆東洋の顔

遠い記憶我にかえって水栓しめる

あげるもの何もないからほほ笑みを     れいこ


夏の扉開けると海がざわめく

手負いの星流れて夕景が暗い

心に降るバラの花びら一片(ひとひら)      昌子



重いザックに試されている

黙祷する白い飯頂く八月の空

今日というジグソーの最後のひとかけはめ終える

採りたて野菜を配ってしまった
        つゆこ


こうしてみつめるだけの長い歳月

太陽の下のあなたが私に手を振る

みんながひとつになった時前へ進めるはず   歌也子 



パンの焼ける匂い幸せのふりをする

耳の遠い母のサルスベリ鮮やかな声になる    
架京



薄い眉の端あげて夕べの話

灼熱へスルスルっと蜘蛛の糸              貴子