風に泳ぎ桜が鱗のさざ波を吸う

重い雲だらり洗濯物痩せたまま           弄山

       

わらうにはずいぶんかかるし泣くには汽笛がいる

オホーツクでうそをつく                人美



その昔私が桜だった頃の駅の界隈

さくらさくらカチリと鍵をかけました          貴子



濁点ばかりの朝 雨はあがった

折から雪もつれて午後を重ねる           えみ子



晩酌は熱燗を少し父の余生

信州の春は豪快な御柱祭はじまる

春はパワフルスキニーで出かけよう         つゆこ 
 


接続できる回路がない

死者の時計が動く                    伊織



チューリップ明日のドアが開きすぎ

私にもあった美しい過去 障子の穴          架京



言い負けてほっとしている山茶花

蛇口ぼたぼた十年前はなんて            喜久也



赤いマニキュアの指で尻尾をつかまえておく

通いつめた千秋楽の花ふぶき            ゆう子



いつもそこにいてくれた大銀杏が倒れる

ありがとうでは足りぬ思いのたんぽぽ

逢えて桜花ひとつひとつが愛しい          歌也子



吐息まで緑に染まる柿若葉

花曇の少しいびつな目玉焼き             和子





4月の句会