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  第168回 エトレ句会 選句結果  2025・1・26

  つぶやきは静かに未来を食べている       立日十   

麻由可・酔魚・ゆき・楽遊原

      千年侍る石に腰掛け比叡を仰ぐ        克彦

  啓司・かえい・架京

      心も冷え込む古傷が疼く           郁也

 

      細波のリズムの響き身体をめぐる      立日十 

 

      シャツの首の穴を今日へぬける        啓司 

    克彦・麻由可・けんじ・ゆき・楽遊原・〇歌也子・ちか・圭一・架京

   ・一日が始まるという表現が上手い。・無理やり起きて朝を迎える様子が浮かぶ。・「今日へぬけ る」がポジティブ。・毎日同じような経験をしているがなかなかできない表現。

      三ツ星を見上げる我は流転中          和宏

 

      胸ふくらませ雀の挨拶            麻由可

   〇啓司・かえい

      神も忙し依り代多し大和の国          かえい

 

      入院する父の荷物に北方謙三          けんじ

    和宏・

    ・ハードボイルド作で知られる北方を病床に持ち込む。入院する父のそれまでとこれからを想  像させてくれる。

      公園鳩の足跡ばかりの元日            酔魚

   克彦・圭一・

      遠い悲しみが石のお地蔵様            啓司 

   歌也子・

      卒業写真で初恋を継続している        けんじ

   立日十・麻由可・酔魚・

      ポーカーフェイスな猫と見る紅白歌合戦      ゆき

     啓司・ちか・

      残り少なくなった爪が伸びる          楽遊原

     かえい・酔魚・

      三が日駅伝に満たされてのんびりひとり      歌也子

 

      箸置きも背筋を伸ばす朝           和宏

     克彦・麻由可・圭一

    ・共感。・発言者はお正月の改まった気分を表わす句として、だいたい共通したイメージだったが、ただ「背筋を伸ばす箸置き」とはどんなものかということに話題が盛り上がった。

      さびしい部屋に鍋いっぱいのカレー      一音

     けんじ・楽遊原・貴子

      少しずつこの世のものをなくして元旦      貴子

     立日十・酔魚・ちか・煙陽・架京

     ・「なくし」たものとは近しい人かものか。・共感。

      午後のソファにぽたりと冬陽短い        麻由可

     ゆき・貴子

     ・「ぽたり」に納得。・逆に「ぽたり」に違和感がある。

      街の風買うこともせず家籠り          かえい

 

      君を想う素顔に真珠のイヤリング           歌也子

 

     陶磁器の白を見つめる心透き通るまで         ゆき

     ちか・

      闊歩するテディベア雑踏に潜る        ちか

 

     あのタクシー人間が運転している           克彦

     和宏・圭一

    ・まだそこまで行ってない。

      ひこうきぐも月につづく           圭一

     立日十・克彦・和宏・酔魚

     ・広大な光景として浮かぶばかりでなく抽象的なイメージとしてもとらえられる。

      きらきら振袖とんかつ頬張っている         一音

     克彦・かえい・

      賀状出すついでの散歩人けなき元日         酔魚

 

     夕闇に光貫き無言劇見る              ちか

 

     市までがやっとで田舎で年明けて       郁也

     ・「市」は町のことか。それなら「町」の方がすっと読めるのでは。

     凩に転んだ「祝開店」の花輪          圭一

     ゆき・楽遊原・貴子・

      窓辺をそっと抱きしめてわたし踊ってみた       煙陽

     貴子・麻由可

     ・「窓辺」を外から見ているのか、中にいるのかで解釈が分かれた。

      山茶花の明るさを背にして帰る           架京

     けんじ・歌也子

     ・前半がいい。句末の「帰る」が漠然としている。

      まひるは公園の根っこから始まる       煙陽

 

     足早な雑踏もどり欠けはじめた月           貴子

     かえい・酔魚・

      棄てて下さい貴方に挟んだ栞          楽遊原

     啓司・けんじ・ゆき・歌也子・ちか

     ・ドラマチック。・作為的だが比喩が上手い。

      指一本つかまれて初雪みに出る        架京

     立日十・啓司・酔魚・楽遊原・歌也

    ・素朴。・孫か学生同士としてもいい。・「み」が平仮名なのが気になる。

      頭痛の夢は先生が死ぬ夢              古戸信

     貴子・

      洗濯機動かない朝を雪が降る            古戸信

     歌也子・〇煙陽・

      狸しか来ない狸の新年会              人美

     立日十・克彦・けんじ・貴子

     ・「狸」とはどうってことない人物を比喩していると思うが、なるほどと思うし面白い。

      風とため息が通り抜ける各駅電車の停まる駅 人美

     かえい・煙陽