第165回 エトレ句会 選句結果 2024・7・28
① 踏切に 月ひそひそと 墨の菊 幸弘
ゆき
② 助手席に西瓜乗せている安全運転 けんじ
ゆき・楽遊原・克彦・酔魚・和宏・啓司
・ほのぼのとしてくる。・安全運転がほほえましい。・絵が浮かぶ。
③ 台所が魚臭いと嬉しくなるんだぜ東京 圭一
・組み合わせが個性的。個人的体験か。
④ 水溜りを飛び出せない鳥がいる夏 架京
酔魚・貴子
・鬱屈した心境
⑤ 梅雨が明けない私の感情線あたりの空 架京
ゆき・麻由可
⑥ 返信に迷っている生乾きのTシャツ 貴子
楽遊原・酔魚・麻由可・かえい・架京・幸弘・歌也子
・悩んでいる気分が後半とピッタリ合う。
⑦ 七夕や短冊には何も書かず結ぶ ゆき
克彦・和宏・ちか
・いざ書こうと思ったら何にも浮かばない気持ちをそのままに。
⑧ 蟻には行くところがあって炎天を急いでいる 貴子
克彦・啓司・麻由可・かえい・幸弘・歌也子
・蟻の生態を上手く描写・蟻の生命力・蟻にはあるんやという気持ち。
⑨ 画面に触れているさっきまでの指 楽遊原
幸弘
⑩ 夕立ツバメの子見上げる子 古戸信
啓司・一音
・絵になる。
⑪ 氷吸って夏の息吹 圭一
⑫ 半夏雨濡れても逢いに行きたいヒト ゆき
かえい
・田植えの終わった後に降る激しい雨、疲れているし濡れてでも遭いたいという強い思い。
⑬ 電柱のトンビひょろろと泣いてくれるか 立日十
・トンビに親しみ。猛禽類の怖さに盛り上がる。
⑭ たまには着払いで送りたい私の愛 麻由可
ゆき・楽遊原・かえい・ちか・立日十
・一方的な愛を当たり前のように受けとめている相手へ、「着払い」が効果的。
⑮ 真っ青な夏の空を紋白蝶 啓司
歌也子
⑯ 大きめのまばたきソフトクリームとけた 一音
楽遊原・〇啓司
・何かに驚いて気をとられる間に溶けているのか。・思わせぶりなウインクに心もソフトも溶けたのか。
⑰ 救急車にも驚かなくなったな 和宏
酔魚
・確かに、熱中症のせいか多い。
⑱ 排水溝にきかん坊のキがゲラゲラ 幸弘
・よくわからなっかた作者にききたい。
⑲ ねむの花に誘われていた束の間の夢 立日十
啓司
合歓の花を見ていると空想に耽りたくなります。
⑳ 一気飲みの水さえ命取りだったサ 酔魚
㉑ 今日もおままごとのように菜っ葉をきざむ 歌也子
和宏・麻由可・一音
㉒ MRIは目をあいても棺桶の中 克彦
酔魚
㉓ 不意に夜を駆けていたこと 古戸信
「こと」で深まるか漠然とするか。
㉔ つばめの子ら空を見つめて親鳥待つ かえい
克彦
馬蹄斑のある燕の子の様子。
㉕ 前立腺がん患者と知り合いたい 克彦
㉖ 目立ぬよう気配消していきてます 人美
立日十
㉗ 通じても届かない言葉しゃぼん玉 ちか
啓司・麻由可・架京
㉘ 訳ありの大柄の女の隣で黙ってすわってる 人美
貴子
㉙ 食べても君が見えないパフェのグラス 楽遊原
〇和宏・かえい・幸弘・ちか
多少の誇張はあっても同感。・せつない。
㉚ 夏休みの後悔かき混ぜるメリーゴーランド 一音
ゆき・楽遊原
㉛ 旅するこころ諦めて受け入れる雨 郁也
静かな雨に仕方なく眺めている様子
㉜ 黒く丸くなるほど働いた 啓司
克彦・貴子・かえい・立日十
「丸くなる」に実感がある。・農作業なのか、「働いた」で止めた余韻。
㉝ また歩き出す始まりの日は春の雨 麻由可
歌也子
㉞ 微熱あり百合の香の底に浸った ちか
楽遊原・啓司・貴子・歌也子
熱っぽさと強い香りの百合は不調和なのでよろしくない気分が伝わる。
㉟ 多数決だとカエルの勝ち 和宏
酔魚・貴子・架京・ちか・立日十
・鳥獣戯画のよう、何を決議したのだろうか。・最近の選挙が頭に浮かぶ。
㊱ 葉も七変化遠い声を聴く かえい
㊲ 5時の夕やけ小やけが今日は寂しい 歌也子
貴子
・「今日は」なのでいつもは寂しくないのか。
㊳ ざんねんな手相を犬に見せれば舐める けんじ
ゆき・楽遊原・克彦・酔魚・幸弘・ちか
・がっかりしている人間と事情のわからぬ犬の組み合わせが絶妙。
㊴ 今度カメムシに生まれたらどやさ 酔魚
ゆき・貴子・立日十
・いくよくるよへの哀悼の思いと疎まれるカメムシへの転生を想像している作者か。
㊵ 逃せばさみしく一人飲む夕暮れ 郁也
・素直な描写。・「逃す」「さみしく」「一人」「夕暮れ」といった暗いイメージの重なりが重い。
後記
まだ七月というのに暑すぎる日中、七名が出席され、克彦さんの司会のもとで進行しました。今回より京都の楽遊原さんが参加されることになりました。句会が終わってからの二次会でも楽しく話が弾みました。今後共宜しくお願いします。
私の方で提案したのですが、来年度から即ち一月の句会からエトレ句会として一年分の会費をいただきたいと思います。今年末までは句会に出席される方のみ毎回1000円徴収の形ですが、ホームページも開設しておりますのでその維持費、それと句会のための豊中市の施設使用料等は全体で負担した方がいいのではと思います。
つきまして、句会に直接参加される会員は3000円、メール中心の遠方の方は2000円を集めたいと思います。
句会参加の会員は、年会費3000円を収めていただきましたら出席の度の徴収はいたしません。また、遠方の方々はご負担していただくことになり誠に恐縮ですが、ご理解いただきたくお願い申し上げます。
なお、第三句集までは繰越金を句集代に当てておりました。第四句集については見通しは立っておりませんが、現在会計担当のかえいさんのもとに76,162円繰越金があります。小さな会ですので、会費を一年分納入制にした結果、赤字になるとか句集代が溜まらないとか問題が出てきましたら、また変更が生じるかもわかりませんが、常々気になって考えてきたことですので宜しくお願いしたいと思います。まだ時間がありますのでご意見がございましたらご遠慮なく小山までお願いいたします。
次回は九月です。お身体大切に猛暑を乗り切ってください。 (小山)