第164回 エトレ句会 選句結果 2024・5・26
① 季節の色を纏って小さくステップ ちか
貴子・啓司
② 使いきれず春が来るリップクリームのような君 麻由可
克彦・かえい・
・要するにどんな人なのか、イメージがつかめなかった。不用品になった「君」ではないですよね。
③ かすむ野が水彩画のように車窓を流れる 啓司
立日十・
④ 講師にアメ持っていく母の市民講座 けんじ
酔魚・ちか・克彦・かえい・啓司・古戸信
・大阪のオバチャンという感じ。・人柄がわかる。
⑤ 咲き終えて雑草を抜く 酔魚
克彦・〇歌也子
⑥ 夜雨おわらない仕事といる 古戸信
ちか・けんじ・圭一・郁也・立日十
・「夜雨」の読みは?・なかなか終わらない仕事を擬人化しているのが効果を出している。
⑦ 戦わず雀逃げたり遊んだり 立日十
酔魚・貴子・ゆき・青井こおり・麻由可・啓司
・現代の人間社会を思う。・「遊んだり」が雀のしぐさをよく表現している。
⑧ 黒い顔施されるという寝姿 圭一
⑨ 一人の音しかしない日の午後の雨 貴子
酔魚・かえい・麻由可・啓司
⑩ 間違えて道を教えた空の青すぎる けんじ
酔魚・ちか・克彦・圭一・ゆき・青井こおり・郁也
・申し訳なさが胸にささって空を仰いだか。・まあいいか、という気持ちも感じる。
⑪ 雨音聞きたくてガラス戸少しあける 克彦
圭一・歌也子・〇啓司
⑫ 誰も気付かずにゆく菫の花のことを 啓司
ちか・かえい・ゆき・
・花の気持ちを代弁している。・句末の「を」は要るか不要か。
⑬ しばらく維摩居士に逢えない 和宏
⑭ 愛する人の下僕となった鬼の住む家 立日十
酔魚・けんじ
・男性ってそういうとこがあるような。
⑮ 雪止んで鳥がいた跡 圭一
酔魚・けんじ・歌也子・青井こおり・麻由可・立日十・啓司・古戸信
・静寂そのもので水墨画のようだ。無駄がない。
⑯ 夏よなに叫ぼうかなにげない幌よ 幸弘
⑰ 晴れすぎて一瞬の四十九日 郁也
人美
・「一瞬の」が何を表現しようとしているのか。
⑱ 鹿のほうが分かっている 和宏
けんじ・貴子・青井こおり・麻由可
・対照になっているのは人間だろう。人間が征服しているようでも実は自然界の生き物の方がよくわかっているのだということだと思う。同感。
⑲ にんげんにんげんのふりけいかいなめくちみみはな 幸弘
貴子
・本当の「人間」じゃない人ばかりが跋扈する世の中に対する不快感を感じているようだ。
⑳ 墓へと納める婆さんの骨壺を抱いて行く 郁也
青井こおり
・「婆さん」のひとことが効いている。このひとことからその人との親しさも感じられます。抱いているのは「爺さん」なのでしょうか。
㉑ レース糸まで絡まった解ける日は来るのか 歌也子
酔魚・かえい・貴子・麻由可
・もやもや感がすごい。
㉒ 夏風の抜け感や 綿セーター ゆき
㉓ 吸い飽きて煙草の箱積み上げていく 古戸信
㉔ 夏の日差しにはみ出しそうな君の影 麻由可
歌也子・啓司
・わかるようでわからない。
㉕ 犬啼いて月光いらかに映える 克彦
立日十
㉖ タイマーであいみょんと眠る春時雨 歌也子
酔魚・かえい・ゆき・啓司
・春の午後の優しい雨にはあいみょんが似合う。
㉗ 雨上がり花びら模様の車行く春 ちか
㉘ 一面の白詰草幸せ隠れてる かえい
酔魚・歌也子・麻由可
㉙ スズメ鳴いて花びら散らすか 酔魚
古戸信
㉚ 知らない花の香りして花の名考えつつ午睡 ゆき
ちか・克彦
・気持ちよさそう。
㉛ 今夜の影はアンタと私と電信柱 貴子
酔魚・けんじ・圭一・ゆき・人美・立日十・啓司
・絵になる。・「電信柱」が効いていて面白味がある。
㉜ 窓を敲く青い月の仕業 かえい
麻由可・郁也・立日十
句会出席:ちか・酔魚・克彦・けんじ・圭一・かえい・貴子
後記
今回はかえいさんに全面的にお世話になりました。前週に「青穂」の全国大会があり、その準備と重なって全く身動きが取れませんでしたのて大変助かりました。164回がつつがなく開催できたことはかえいさんはじめ皆様の協力の御蔭です。
「青穂」大会の翌日に11名ほどで須磨寺と須磨浦公園にレクリエーションに行きました。今まで何度か須磨寺に参っているのですが、初めてお大師様の日と重なりました。駐車場も一杯で、露店が並び、いつもは閑散としているお寺は大層な人手でした。放哉がお大師様の日は腰が痛くなるほど忙しいと書簡に書いてありますが、百年が経った現在でも賑わっていることに感慨深いものがありました。
次回もルシオーレで開催しますが、会議室がとれませんでしたので同じ5階ですが、練習室で開催いたします。今回お休みだった方も次回は宜しくお願いいたします。
お知らせがもう1点、今回より青井こおりさんが参加されます。放哉俳句をベンガル語で訳されて出版された方です。宜しくお願い致します。 (小山)