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第163回 エトレ句会報   2024・3・24

 

1 会えない人がいっぱい切り絵のような森                      架京

   煙陽・麻由可・立日十

   ・採った人の句評がないので聞きたかった。

2 アンカーがごぼう抜きされる悲しさ              けんじ

3 おめでとう歓声のなか舗道に落ちる涙           克彦

4 お雛様の右手が欠けて床の間の薄明り          貴子

   酔魚・克彦・ゆき・麻由可・啓司・古戸信

   ・古いお屋敷に置かれたお雛様の情景。・大事にしていたのに切ない。

   お雛様のもの悲しい表情が浮かぶ。

5 カーテンレールに下げたシャツともの言わぬ昼飯     圭一

   克彦・人美・貴子・架京

6 ガラス窓ふと悲しげなあなたは私                  貴子

   克彦・〇啓司・歌也子・ちか

   自身を客観視していて、作りかたも新鮮。・夜に電車に乗った時に何もすることがないとこういうことがよくある。

7 クルクル廻ってハムスターみたい                  和宏

   立日十

8 ざりざり最後の雪踏んで朝                           郁也

   酔魚・貴子・一音

   ・情景がリアル。

9 バナナの皮を むいてむいてむいて                       植村

   貴子

   「むいて」の三回の繰り返しで句になっている。剥いた後に残るものは?

⒑ 母の風かなまっすぐ歩けば菜の花畑              架京

   歌也子

⒒ ピーマンを洗ってもひとり                  古戸信

⒓ また悲しいニュースだやかんが音立てている                   一音

   圭一・けんじ・円・ゆき・麻由可・啓司

  ・戦争のニュースだろうか。静かな中に音のみが響く。・二物配合で成功。

⒔ メジロおどおど梅をついばむ                 克彦

⒕ 一晩凍っても春の畑の勢い                    郁也

   けんじ・古戸信・立日十・ちか

    自然の生命力

⒖ 雨が降って止んでみんな優しい                               煙陽

   人美・かえい・ゆき・貴子・歌也子

   雨が止んだ後の町や自然が輝いて見えたのだろう。・土の匂いまで伝わる。

⒗ 覚えたてのコードで弾いてみる/ 「遠くへ行きたい」              人美

   克彦・啓司

⒘ 刈り取ったそばから次の芽               和宏

   酔魚・かえい・麻由可・古戸信

    自然の生命力はすごい。

⒙ 玉葱の種あかし月のしずくをしずかにしぼる                   幸弘

⒚ 戸を敲く青い月光のしわざだ                かえい

   貴子・歌也子

   まさに静寂そのものの夜。

⒛ 今年も咲いたね頷いてくれたか             酔魚

   かえい・麻由可

21 混沌としてやがて無に溶けてゆく雑踏          ゆき

   圭一

22 雑踏で逃亡未遂 手袋だって冒険したい         ちか

   円・かえい

   後半が落した手袋の気持ちになっているのだと思うが、前半の抽象表現と後半のかわいい表現のギャップが面白い。

23 雑踏を斜めに急ぐ青年はナイフ                                立日十 

   円・ゆき・貴子・麻由可・和宏・ちか

   雑踏を横切って行く若者の目つきまでが浮かぶ。・冬の雑踏を黒づくめの若者が人波に逆らって足早に行く姿が浮かぶ。・本当にナイフを持っているのかと思った。

24 鹿煎餅食べ過ぎ太ってしまった奈良の黒猫                    人美

25 拾った命です。                           ゆき

   酔魚・圭一・〇煙陽

    今、生かされていることへの実感が湧く。

26 出だしさえ忘れかけてた歌流れる                   酔魚

   かえい・歌也子・立日十

27 春風に私の窓を開ける朝                  麻由可

   酔魚・古戸信・和宏・ちか

   はじまりを感じる。・読み手の(心の)窓にも春風を入れようとする決心を感じる。

28 小さい庭の雪だるま小さい                           古戸信

   人美・啓司

29 消しゴム失くして日が暮れる                    歌也子

   酔魚・圭一・けんじ・ゆき・古戸信・和宏

   ・案外大事なもので、失ってしまってやる気をなくした感じが伝わる。・失ったという事実を引きずっている気分だろう。

30 雪の雲割れ弥生の陽射しふりかける                        立日十 

31 雪降る町の君からはがきひとひら                   一音

   貴子・架京

32 早春の潮風をあの廃船まで                  啓司 

   貴子

   遠くにある廃船を見ながら爽やかな春風を感じているのだろう。廃船まで届いてほしいという気持ちには能登で被害にあった港への思いもあるのかと想像した。

33 草地を翔ける呼子鳥ラジオ体操は楽し              かえい

34 足の数数えて見なかったことにする蜘蛛                          ちか

   けんじ・かえい・架京

35 足下でそっと咲くたんぽぽになる            歌也子

36 知らない男とゴッホの通夜に行くところ                          けんじ

   円・ゆき・煙陽・一音・立日十

37 蝶のふりに疲れ一杯のダイキリ                             麻由可

   けんじ

   ダイキリがオシャレすぎるようにも思う。

38 天使のブロンドにも 確かな枝毛                   植村円

   けんじ・歌也子

    この世に確かなもの、絶対的なものなどないのだ。

39 鳩の横断を待つ                           圭一

   酔魚・人美・けんじ・ゆき

    さりげない表現の句だが、情景も作者の優しさもわかる。

40 木漏れ日の洋灯が垂れさがる                    煙陽

   圭一

   言葉はきれいで3つの表現の一つ一つはわかるけれども、具体的な情景となるとどうか。

41 夜空根城にだれもしらない春をまつ                        幸弘

   前半の主語は誰なのか、もしくは何か、「だれもしらない春」とはどのような春か、が全体として伝わりにくい気がする。

42 六十六の手さぐりのふと見つけた蕗のとう                    啓司 

   架京

 

(出席者)

  酔魚・けんじ・克彦・ゆき・かえい・植村円・人美・貴子