ようこそ。自由律俳句句会【エトレの会】へ 
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春宵 自販機の肩が冷えている          貴子

   圭一、幸弘、麻由可、ゆき、かえい

   春の夜は結構冷える。ひんやりした自販機の肩にそっと触れたくなくような風情がよい。ぽつんと立っている情景が浮かぶ。

知っとる香りの女と座る            古戸信

   酔魚、幸弘、立日十

    男性的でぶっきらぼうな表現に惹かれた。

山桜の花びら千メートルの空を流れていく     啓司

   克彦、かえい

良いところも悪いところも人間で夏めく     歌也子

   酔魚、麻由可、かえい

   「夏めく」の付け方が上手い。

雨の日は蒲公英閉じて菫は開いて         啓司

   貴子

キッチンにミモザとレモン春日吸い込む      ちか

   ○歌也子、啓司

     爽やかで明るいキッチンが見える。

おっさん老いて付かず離れず海月の仲間     立日十

   酔魚、ちか、けんじ、幸弘、麻由可

   ほほえましい老後の男の描き方。海月と「おっさん」の結びつきがよい。

ここにいるよ夕闇に一瞬浮かぶ白ツツジ      ちか

   かえい

奈良に隆光あり業績知られず          かえい

久しぶりに揃ったカラシ蓮根           圭一

   酔魚

見納めと言う友と花愛でている          酔魚

   立日十

地図帳のほこり指で拭く             克彦

   酔魚、圭一、ちか、啓司

   長く使われなかった地図帳か。コロナ禍が過ぎた今ならではの句。

おしっこ我慢して見るほどのニュースじゃなかった  一音

   酔魚、克彦

青葉に霧くっきりと朝               郁也               

   春の霧があってこそ青葉が鮮やか。描写が正確。

片足あげて鷺に生まれて 水あそび        立日十

   克彦、けんじ、貴子

   鷺は遊んではいないと思うので、そこはひっかかるが、鷺が片足を上げる生態やそういう生き物として生まれたという宿命的な表現が深い。

返事をしたら俺ではなかった           けんじ

   酔魚、立日十

食器棚からころりと落ちて来た「昭和」       ゆき

   酔魚、歌也子、○啓司

    ノスタルジアを感じる。「昭和」がことさらな言い回しに感じる。

穴あき靴下吊るされている春がゆく窓        一音

   圭一、貴子、歌也子、ゆき

   「春」まででよかったのでは。ふと見上げたら目に入った風景なのだろう。

春の眠りの奥の方にある白いボタン        麻由可

   けんじ、古戸信、啓司、ゆき、一音

   意識が遠のく時の心象風景か。「ボタン」が気になる。

残業代雨なんぞ降ってきた             圭一

   貴子

   現代のプロレタリア俳句

路地を抜けて十九の私に逢いに行く         ゆき

   酔魚、ちか、克彦、けんじ、麻由可、立日十

   ノスタルジー。比喩が上手い。

爽 夏カラクリ純情なサイダーぽくぽく排他工場   幸弘

   後半の意味がとれなかった。

クレムリンのニュース聞いている蛇苺の実が赤い   貴子

   けんじ、一音

    取り合わせがよい。「実」は不要か。

時の淵 自由落下の僕は残響            幸弘

   立日十

    新しい表現を模索されているのか。

この春の一日を推敲する             麻由可

   酔魚、一音

人の話をよく聴いて寝てしまった         けんじ

   ゆき

晴れきるでもない新芽つややか           郁也

   古戸信、かえい

セリフだけの映画最後に顔が出るんだ        克彦

月見草頷いてくれただけのさようなら       歌也子

   酔魚、幸弘

    「くれた」と詠んだ点に対等で優しいまなざしを感じた。

今日も幸せ一つ拾う               かえい

   酔魚、ちか、克彦、歌也子

   お寺に書かれていそうな。「も」がよい。  

つばめ夕暮れひとりで帰る            古戸信

   貴子、歌也子、啓司

    燕を描くことで、一人でいることの孤独感が強調されている。

名残りの桜逢えればまたね             酔魚

   ちか