第138回  エトレ句会出句一覧 

 

俺はなぜ蛙になったんだと考える蛙の月夜    幸弘

また寝っ屁したろ

シカの鳴きまねして行く山奥           克彦

わるい人と言いながら月を愛でる

「寒いね」が「寂しいね」と聞こえる初冬     麻由可

コロッケと小さな愛を買って帰る

環境活動家公園の陽だまりの中ほっこりしてる    かえい

タピオカも飽きられて交差点の隅静か

吊り革たちが龍舞するバス              和宏

夜の瀬戸海カムパネルラ追う車内

巻き爪に穴を開ける夜が短い           古都信

知らぬ子抱きついている俺のジーンズ

もういないんだ酒の香りを拝む            酔魚

会えない人に会いたくなった秋色だ


偲ぶ人ありてひと枝の萩               ゆき

ただ葡萄が届けたいだけと泣く母である

西日の部屋の素ラーメンすする           一音

金木犀ひとりなら鼻歌も出たろう

繋ぐもハートにならない言葉の切れ端         妙子

ややこしい話パクパク金魚になる心臓

常闇の打楽器 おどる胸の骨             立日十

谷筋にきのこが遊ぶ銀河を招き

作り物めく今日までの歯の骸             郁也

痛覚なき世の片隅に死いくつも

印象派展端へ避けて子を叱る             雅人

出張準備児の寝顔を眺める

きょうの佳き日を神主は長い顔            けんじ

つまらん一日をシップ薬ごと剥がす

私の全てがここにあるスマートフォン           圭一

みんな喪服に見える地下鉄

遠くへ行く雲が私                   タケウマ

大きくのけぞって木枯らしをやり過ごす

下手でも通じる喜び手話のおしゃべり           歌也子

江の島富士山夕焼け空ふたり生きていた

久しカラオケ、声偲ばせて昭和演歌      小野裕一

今日一日読書し笑って深呼吸

未来の中で一番若い今日を粧う        貴子

網に干されて昨日まで海にいました

夢とうつつ裏返し頬に紅さす         人美

鎮守の森は黙って目を閉じている