9月の句会    ー第94回ー

山小屋のトイレにも慣れて山女       つゆこ

うまい具合に霧がわき雷鳥顔をだす

顔見にきただけと医師の白い歯       妙子

ひとり帰る子影長く曳いている

ゼンマイ仕掛けはずして今日は私でいる   れいこ

朝昼晩薬に飲まれている残暑

華奢な手の水掻きの一つ一つに海恋し    昌子

あなたがいて私がいてあなた

落ちる日はどうしてこうも焦がすのか    こあめ

さくらさくらしくははしんだらしく

酔芙蓉騙され上手になりました       歌也子

心の中のあなたはいつも笑っている

虫の音浅い夢を巡り透き通るまで      ゆき

夕暮れライブ君の肩を借りて風になる

野良犬に赤い舌がある夕暮れの色      知宏

木槿咲いている間疲れている

往生際の悪いことです秋風の立つ      ゆう子

所在無く輪の外に居て醒めている

雷雨すべて消そうとする記憶の線上     架京

歩くだけ歩いて風にわたす手紙

美しい心になり炎が純白の花になる     弄山

風裏返り樹に雲がしがみつく

夏が往く象の足跡を残して         人美

雅子さまとあるきたい曇りぞらの日に

内ポケットに捻り込むあの事この事     喜久也

これが余生かな無難のみを願ってるよ

コップ半分の暇もてあます          貴子

帰りには男が覗きこんでいる川音