8月の句会    ー第93回ー

逃げ水の向こう プール帰りの子ら溶けて行く    ゆき

送り火の夜更けて蝉鳴きやまず

打ち水すれば夏の憂鬱が溶けていく         昌子

鳴りやまない嵐の底にいる

上機嫌の機械操って一日              つゆこ

勝手に食べてよ私はオリンピックを見る

もう大丈夫子からがんばれのメール         歌也子

秋にはあなたのほほえみに逢える

バリバリと暑さ剥がすともうまだ九月        れいこ

会話ゆるりとまわりポトリ落ちる煙

いきどまりの彼岸花                こあめ

夕陽が打ちあげられている

水色の空を切り裂いて白バイの登場です             知宏

狂ったように蝉なく夜に、会いにいきます

鬱の一画にいて休日のエレベーター         喜久也

止めどなく私の芯の暑さ冷たさ

思い出の初めは白い割烹着の母だった       人美

夏の蝸牛おまえも同じ一日か

ロウソクの炎まっすぐに蛾を突き刺す       弄山

蜜に酔い虫ピンで止められる

炎天をめざす藍のアサガオに掴まる        えみ子

梵鐘の染み込む朱の空が広がる

線香花火ふり回している闇の色          貴子

どかどかと踏み込んできた大雨である

耳貸さず見ようともせず親不孝者         ゆう子

毒吐いてまた鬼を泣かせてしもた

父の眼の奥にある空赤とんぼ           架京

つながらないものつなげようとして雷雨